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海老原 健一; 齋藤 圭*; 高井 健一*
「水素脆化の基本要因と特性評価研究会中間報告会」シンポジウム予稿集(USB Flash Drive), p.30 - 35, 2016/09
鉄鋼の水素脆化機構を理解するために必要な鉄鋼中の水素トラップ状態を推定するために、昇温脱離解析(TDS)で得られる水素昇温脱離スペクトルが用いられる。近年、水素添加しひずみを与えた焼戻しマルテンサイト鋼における空孔型欠陥の生成が報告されていることから、そのような鋼材の試料における空孔型欠陥が水素トラップ状態への影響を評価するため、空孔型欠陥が温度によって変化する過程を組み入れた昇温脱離モスペクトルの数値モデルについて検討した。結果として、空孔の拡散及び消滅の過程のみを取り入れたモデルは、実験スペクトルの空孔の昇温脱離ピーク付近にピークを再現するが、空孔のピークと転位のピークの間の水素放出を再現できなかった。そして、空孔クラスターの簡易モデルを考慮したところ、空孔ピークと転位ピークの間に水素放出が現れる可能性が見られた。しかし、実験スペクトルの詳細な再現にはいたらなかった。それは、空孔クラスターの簡易モデルによるものと考えられる。
大島 武; 上殿 明良*; 江龍 修*; Lee, K. K.; 安部 功二*; 伊藤 久義; 中嶋 賢志郎*
Materials Science Forum, 433-436, p.633 - 636, 2003/08
6方晶炭化ケイ素(6H-SiC)へボロンの注入を行い、注入後熱処理による結晶性の回復とボロンの拡散の関係を調べた。結晶性に関しては陽電子消滅法を用い空孔型欠陥を、ボロン拡散については二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて調べた。その結果、800から1000の熱処理により空孔型欠陥がクラスター化すること、1100以上の熱処理により空孔クラスターのサイズの減少が生じること、1500以上の熱処理で空孔型欠陥は観測限界以下になり結晶性が回復することが分かった。一方、ボロン拡散に関しては、1300以下では観測されず、1400以上の熱処理で、表面拡散が観測された。このことより、ボロン拡散は空孔型欠陥の拡散や移動とは直接関係ないことが見い出された。陽電子消滅の詳細な解析を行ったところ、1500で空孔型欠陥は観測されないが、陽電子の拡散長は未注入試料に比べ短いことが分かった。この結果は、空孔型欠陥はないものの、格子間元素等の散乱体が依然存在することを意味する。このことより、ボロン拡散は、格子間元素とボロンの交換によるkick-out機構で発生することが示唆される。
大島 武; 上殿 明良*; 阿部 浩之; Chen, Z. Q.*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 安部 功二*; 江龍 修*; 中嶋 賢志郎*
Physica B; Condensed Matter, 308-310, p.652 - 655, 2001/12
被引用回数:6 パーセンタイル:37.52(Physics, Condensed Matter)六方晶シリコンカーバイド(6H-SiC)へアルミニウム(Al)及び炭素(C)の共注入を行い、注入後及び熱処理後に残留する空孔型欠陥を陽電子消滅法により調べた。Al注入(濃度:2E18/cm3)は室温で、炭素注入(濃度:1E18/cm3)は室温または800で行った。その結果、両試料ともに注入後に残留する空孔型欠陥は主に複空孔(VsiVc)であること,1000での熱処理により表面層の空孔欠陥はクラスター化するが、深部の欠陥はクラスター化が抑制されること,さらに1000以上の熱処理では空孔欠陥サイズは減少し、1400熱処理により結晶性が回復することがわかった。また、Al単独注入試料中の空孔欠陥においても同様な振る舞いが観測され、共注入による欠陥の特異な振る舞いは見出されなかった。一方、電気特性の結果、共注入試料の電子濃度の方がAl単独注入より高く、共注入の効果が見られた。上記より、共注入ではサイトコンペティション効果によりAlの活性化率が向上するというわれわれのモデルの妥当性が裏づけられた。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇; 阿部 功二*; 谷川 庄一郎*; Frank, T.*; et al.
Materials Science Forum, 338-342, p.857 - 860, 2000/00
シリコンカーバイドSiC中のイオン注入不純物の電気的活性化と結晶性の回復の関係を調べた。不純物としてはリンを用いて、高温イオン注入により6H-SiCへ導入した。注入温度は室温から1200Cの範囲として、リン濃度は510/cmとした。注入温度と電子濃度の関係を調べたところ800Cで注入した試料が最も電子濃度が高いことがわかった。陽電子消滅法により注入層の欠陥の注入後熱処理による回復を調べたところ、800C注入した試料の空孔型欠陥のサイズがほかのものに比べ小さく結晶性が良いことがわかった。したがって高濃度のイオン注入の場合は、800C程度の高温注入を行うことで、不純物の活性化率を向上させられると判断できる。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇
Journal of Applied Physics, 86(10), p.5392 - 5398, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:46(Physics, Applied)酸素または窒素注入した6H-SiC中の注入後及び熱処理後の空孔型欠陥について単色エネルギーを用いた陽電子消滅法を用いて調べた。イオン注入量は、110,110/cm(室温)とし、注入後の熱処理は、1400まで行った。注入後に残留する欠陥はおもに複空孔と同等の大きさの空孔型欠陥であり、その後の熱処理によって空孔欠陥が拡散及び結合し、1000での熱処理では空孔クラスターが生成されることがわかった。さらに高温の熱処理を行うと、110注入については、酸素、窒素注入試料ともに1400の熱処理後には欠陥が消滅し注入層が回復することが明らかとなった。110注入については、1400の熱処理を行っても空孔型の欠陥が残留して、注入層が完全には回復しないことが明らかになった。また、酸素注入と窒素注入を比べると、酸素注入試料では、酸素-空孔の複合欠陥が生成されることで、空孔型欠陥サイズの増大が抑制されることがわかった。
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.6(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700C-1000Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000C-1300Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、110/cm注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 安部 功二*; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 谷川 庄一郎*; 梨山 勇
Applied Physics A, 67(4), p.407 - 412, 1998/00
被引用回数:26 パーセンタイル:72.57(Materials Science, Multidisciplinary)6H-SiCへリンイオン注入を行い、発生する欠陥と注入後熱処理により、それらの欠陥がどのように変化するかを陽電子消滅法を用いて調べた。また、ホール係数測定を行い結晶の回復と電気特性の関係も調べた。さらに、ホール係数の温度依存性より、リンのイオン化エネルギーを見積もった。陽電子消滅法により、注入後は主に複空孔が欠陥として存在し、その後の熱処理により空孔サイズは増大し700C以上で空孔クラスターが形成されるが、1000C以上ではサイズの減少が始まり、1400Cでは結晶はほぼ回復することが分かった。結晶の回復にともない電子濃度が増加し、リンが活性化することが分かった。また、リンのイオン化エネルギーは、75MeV、105MeVと見積もられた。この値は、SiC中の代表的なドナーであるチッ素とほぼ同じであり、リンのドナーとしての有用性も確かめることができた。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 阿部 功二*; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 青木 康; 谷川 庄一郎*; 吉川 正人; 三角 智久*; et al.
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.745 - 748, 1998/00
イオン注入により発生する照射欠陥とその熱アニールによる回復についての情報を得るために、陽電子消滅測定を行った。試料はCVC法により作成した立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)を用い、イオン注入は室温で、200keV-Nを110/cm行った。注入後の熱アニール処理は~1400Cまで行い、それぞれの温度でアルゴン中で20分間行った。陽電子消滅測定の結果、室温~1000Cまでは空孔型欠陥のサイズが増加し、空孔クラスターを形成するが、1000C以上では空孔型欠陥のサイズは減少し、1200C以上では消滅していくことが分かった。また、照射によりダメージを受けた領域の回復は結晶の奥の方から始まり、アニール温度の上昇に従って表面へ移動してくることも明らかになった。
上殿 明良*; 伊藤 久義; 大島 武; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 奥村 元*; 吉田 貞史*; 守屋 剛*; 河野 孝央*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 35(12A), p.5986 - 5990, 1996/12
200keVでチッ素N又はアルミニウムAlを注入した3C-SiCの空孔型欠陥に関して陽電子消滅法を用いて調べた。陽電子のエネルギー(入射)とSパラメータ関係より欠陥サイズの試料中での深さ方向の情報を得た。測定の結果、注入温度が高いほど空孔型欠陥のサイズが大きくなることが分かった。また、注入後の熱アニールの効果については、室温注入した試料は、熱アニール(1400C)を行うと、さらにサイズの大きな空孔型欠陥が生じるが、800C注入+熱アニール(1400C)はそれほど空孔のサイズは大きくならずにいることが分かった。これらの結果は、注入温度が高温ほど、注入中に生じた単一空孔が移動し、複空孔や空孔クラスターを形成すること及び、注入時のダメージが大きい、室温注入では熱アニールによって空孔が動き、大きな空孔クラスターを形成することを示唆している。
海老原 健一; 杉山 優理*; 松本 龍介*; 高井 健一*; 鈴土 知明
no journal, ,
水素添加と同時にひずみを鉄鋼に与えることで、多量の空孔が生成され、それらが直接脆化に寄与するとする水素脆化モデルがある。そして、そのような多量の空孔を含む鉄鋼の水素熱脱離曲線には特徴的な脱離ピークが現れる。よって、そのような熱脱離曲線の数値シミュレーションによって、空孔やその凝集で生じる空孔クラスターの定量的評価が可能であり、さらにそれに基づくモデルの検証が考えられる。本研究では、ひずみ誘起空孔を含む純鉄試料の水素熱脱離曲線を測定し、その曲線を、空孔及び空孔クラスターの挙動を考慮したモデルによってシミュレーションした。また、その結果から、一部の空孔クラスターの拡散係数が理論値より小さい可能性が示唆された。さらに、発表では、より現実的な空孔生成直後の熱脱離曲線の測定についても考察する。尚、本発表は、Metallurgical and Materials Transactions A, 52(2021)257の一部を含む。